スギのフローリング

スギというと、何を思い浮かべますか? やっぱり花粉症でしょうか。スギは日本特産種で、建材として非常に優れた木です。また、日本の山に最も多く植えられている木でもあり、現在さかんに伐採されて市場にたくさん出回っています。したがって価格も安い。戦後植えられたスギが大きく育ってきたので太い材も出始め、柱だけでなく梁や桁に使われることも多くなりました。当社でも主要な柱や間柱、筋交い等にはスギを多用しています。また、窓枠やドア枠にとく木目の美しいスギを使うこともあります。ですが、なんといってもお薦めはスギのフローリングです。

住宅のフローリング材といえば、昔は合板が一般的でした。また一見自然の木肌のように見えても、合板の上に薄い板を張った、いわゆる張り物が主流でした。最近は自然志向の施主様が増え、無垢のフローリングを選ばれる方も増えてきました。ところが、無垢材のフローリングはやはり高いのですね。それに、ワックスがけなどの手入れがけっこう大変です。かといって樹脂系の塗装をすれば、木の呼吸や調湿作用がなくなり、無垢の木の良さが半減してしまいます。

ところがスギのフローリング、それも節ありの最低価格帯のものなら、無垢材とはいえ安い。節だらけといっても、現在のスギフローリング材は節穴に別の部材(主にヒノキの枝の輪切りなどが使われます)が充填してあり、見た目は意外にすっきりしています。壁材を白系統の無地にするなら、それらはむしろいいアクセントになると言えましょう。

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無垢のスギの良さは、まず温かいことです。床暖房などしていないのに、それだけで温かく、たとえば夜ベッドからトイレに行くのに素足で移動しても冷たく感じないほどです。また表面は広葉樹材のように硬くないので、たとえばコップや陶器などを落としても滅多に割れることはありません。そして、じかに床座りができるところも魅力です。スギのおかげで、机とイスの暮らしと、ローテーブルの暮らしがワンフロアーで無理なく共存できるのです。

新居を建てるとなると、皆さん大型テレビの前にソファーを置くというリビングをお考えになりますが、ソファーは大きな面積を占め、一度セットするともう動かすのがおっくうになります。むしろ、畳部屋の感覚で、スギの床にごろんと寝そべったほうが、空間をフレキシブルに使えます。時にはローテーブルの位置を変えたり、あるいはそれもたたんでしまう。子供たちも自由に遊べ、掃除もしやすいですね。

掃除といえば、掃除機でもいいのですが、スギの場合、お薦めは昔ながらの「雑巾がけ」です。よくしぼった雑巾で床を拭いていくのです。細かいホコリや汚れもこれできれいに取れますし、水分が飛ぶときにほのかな木の香りが立ちのぼり、なんとも清涼感があるのです。スギは柔らかいゆえに、傷つきやすく汚れやすいとよく言われますが、それを補うのがこの昔ながらの雑巾がけなのです。少々の傷や汚れはこれで馴染んでしまいます。そして、使い込んだ風格が出きて、自然のツヤが出てきます。

現在は機械化のおかげで、さねと呼ばれるフローリング接合部の精度もたいへん高くなっており、一昔前のスギ床とはまったく次元のちがう空間に仕立てることが可能になりました。ただし、それには大工の見識と高い技術が必要になります。たとえばフローリング材料のロットの中には一つとして同じ表情のものはありません。それをどのように選んで床に配置していくか? またスギ材は柔らかいゆえにノコギリや鉋がけに高い加工技術が要求されます。

スギは調湿機能に大変優れた素材で、無垢材ならシックハウスの心配はまったくありません。四国や山陰地区にはスギが豊富にあります。「この床材は近くの森からやってきたんだ」と思いながら、スギとともにリビングのくつろぎを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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