小さな庭と生態的ガーデニングの方法

春爛漫、サクラが散って淡緑の葉と交代し、周りの木々もいっせいに芽吹き始めました。ひと雨ごとに植物が旺盛な成長をみせ、数日も草刈りを怠ると手入れに難儀するヤブとなってしまう季節です。しかし、植物に依存する虫たちの気配が濃密になり、それを捕食するカエルや鳥たちがまた敷地を彩ります。

家を建てるとなると、敷地の植栽にもこだわりを持ち、空間を完璧に支配する図面を描こうとするのが建築・設計家の常ですが、雨が多く自然の力で植物が繁茂する日本では、またちがうやり方もアリなのではないか? と思うのです。

その土地には歴史があります。以前どのような使われ方をしていたのか? 宅地だったのか? 畑地や山林を切り崩した土地なのか、あるい埋め立てた場所だったのか? もし過去の痕跡がまったく感じられない場所だとしても、なんらかの土の記憶が残されているはずです。

ごく小さな敷地でも土の場所をわずかに残しておくと、その土に眠っていた植物の種や球根が芽吹いてきます。あるいは風で種が飛んで来たり、鳥たちが種を運んでくることもあります。周囲に自然度の高い雑木林などが残されていればなおさらです。

もし花崗土のような、あるいは石まじりの土で埋め立てられた土地であっても、ツルハシやスコップを使って小さな穴を掘り、そこに新たな養分を含んだ土(たとえば山から掘ってきた腐葉土のような)を入れ替えれば、そこを起点に植物が育ち始めます。

元気のいい土ならたちまち雑草が芽生え、放置すればひと夏でその周囲を緑のヤブにするでしょう。それを選択的に草刈り・草抜きしながら、庭にしていくのです。スポット的に自分の好きな木や花を植栽してもいいでしょう。1年、2年、3年と観察していると、旺盛だった種類が衰退し、新たな種が芽生えてくるのを感じることでしょう。

これは設計通りの、狙い定めた植物でガーデニングするのでなく、選択的に切ることで残した植物を育て、自然の力にゆだねる生態的なガーデニングの方法です。このときミミズやダンゴムシ、トカゲやカタツムリ、コオロギやカエルやクモたちは庭の住人であり、庭作りの奉仕者でもあります。

刈った草は片隅に小山に積んでおき、米ぬかや水を振りかけてビニールで覆いをし、時々上下を変えてやると1年ほどで腐葉土になります。それをまた敷地に戻して植物を育てるのです。それを繰り返すことで、敷地の中に重層的な生態系が育てられていきます。

そうして鳥やトンボたちが頻繁にあなたの庭を訪れ、祝福の囀りやサファイヤブルーのきらめきを見るとき、周囲の宅地の庭がまるで安っぽいペンキ絵のように、あるいは農地が工場のように感じられるのではないでしょうか。

小さな庭でもできるのです。土とともに住まう喜びを存分に味わいましょう。

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