伊東豊雄「みんなの森 ぎふメディアコスモス」

 

岐阜市にある「みんなの森 ぎふメディアコスモス」を見学してきました。世界的な建築家、伊東豊雄さんの建築事務所の設計で、図書館を中心とする複合的公共施設です。

 

とても美しく自然親和的な建物でした。そして、その内部は驚きに満ちた空間でした。

 

構想として従来の消費エネルギーを1/2にするという目標を掲げ、設計の段階から構造エンジニアと恊働しながら空気や光の流れをシミュレーションし、そこからデザインを導いていったといいます。これまでの建築とは逆のプロセスですね。これまでは、まずはデザインありきで、その構造でいけるかどうかを計算し、最後にその空間に適合する設備を組み込んでいく。結局、大きな箱全体を冷暖房・空調するので、過剰な設備設計になってしまう。

 

伊東さんたちがたどり着いたアイデアは「大きな箱の中に小さな家を点在させる」というようなコンセプトでした。つまり箱全体を冷暖房するのではなく、また壁によって内外を隔てるのでもなく、広いフロアにグローブと呼ばれるドーム状(キノコ状)のものを天井から下げて、そこを中心に段階的に空調や室温を連続させるというものでした。

 

そしてその機能を有効にする屋根の形状として、波うつシェル構造の連続体となったのですが、そのアイデアが驚きです。県産材であるヒノキの小さな板を使い、3方向から積層させながらそれを連続させることで曲面屋根を作っていったのです。120mm×20mm という普通に流通しているようなサイズのヒノキ材を、職人たちが接着剤とビスを用いての手作業でつないでいったという・・・。

2階に上がってそのグローブと天井を見上げると「コスモス」という名にふさわしい、これまでどの建物でも体験したこのとのない見たことのない空間でした。そして、広大な公共建築の内部に、本当にヒノキの匂いが漂っているのです!

この敷地は長良川の豊富な地下水が利用できるため、一定温度の地下水を1・2階のコンクリート床に通して輻射冷暖房を行なっています。また、グローブの上部はトップライトになっていて採光できるとともに、水平の開閉窓が設けられ夏は開放して空気の流れを生み出し、冬は閉じてファンによって空気がグローブ内を循環します。

 

2階には外で読書できるようなテラスも設けられていて、本当に快適そうな施設でした。周囲の緑化計画も周到になされているようで、カツラが植樹され施設にふさわしい並木道をつくっているのが印象的でした。建物に付随するスターバックス・カフェがまたグローブのデザインで楽しかった。

 

たくさんの市民が生き生きとこの施設でくつろいでいました。基本的には鉄筋コンクリートとガラス、鉄骨の建物なのですが、それを隠蔽するわけでもなく、互いの良さを引き出しつつ木材を有効に用いています。岐阜の人たちも地元のヒノキが使われたことに誇りを持つのではないでしょうか。

建築というのもはこんな凄いことができるんだ、世界を変えることができるんだ・・・と希望を貰いました。伊東豊雄建築事務所は茨城県水戸市の中心部に、やはり一部木造を使った「新・市民会館」を作ることが決まりました。こちらも楽しみです。

▼みんなの森 ぎふメディアコスモス 建築の特徴
https://g-mediacosmos.jp/cosmos/about/character.html

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