隈研吾ホテルの杉とモダン

先日、隈研吾さんの建築を体感したくて高知県の梼原町を訪れました。梼原町は四万十川の源流にある山村ですが、なんと隈研吾の建築が庁舎を含め4つあるのです。まずは梼原町の特集ホームページをご覧下さい。

▶︎梼原町×隈研吾建築

各建築を行脚して、宿はメインストリートにある「雲の上ホテル 別館」にとりました。茅葺きと杉パネル、屋根には垂木が見えるという山国らしい素材が使われたユニークな外観です。

一階のフロアーはマルシェ(市場)と食堂になっており、テーブルとイスはフィンガージョイントの杉集成材が使われていました。長テーブルではなくかっちりと正方形、イスも相似形です。

テーブルの天板と脚(幕板)の接合部はツライチではなく、目地のような彫り込みがしてあって、すっきりシャープに見せようとしています。

部屋へのアプローチと内装はとてもモダンでお洒落です。「林業の町なので杉を使ってください」と、前の庁舎の設計のときから町長さんに言われたそうで、部屋のドアはカードキーで入るという最新のシステムですが、バス・トイレの扉は美しい杉の柾目板をはぎ合わせた引き戸になっています。

白い空間に鏡裏からの間接照明。そして、

杉のはぎ板が洗面台のサイドテーブルになっていました。板目・無節です。脚がなく壁から片持ち梁で出ています。裏を見ると特注のL形金物が壁に埋め込まれビス止めされていました。

ここでも細かな工夫が。先端の下部を斜めに削ってあるのでシャープに見えるのです。おかげで片持ちなのに垂れ下がるような重さを感じません。それは部屋の家具の天板や扉などにも施されていました。

隈研吾さんの建築、圧倒されるような美しさの連続でしたが、内部の細やかさも見事でした。木材をふんだんに使うというと、どうしても重くぼってりとしたものになりがちですが、モダンな中にどう融合させるべきか? 見せ方、使い方、いろいろ勉強になりました。

とくに杉は木目や節が強く出る木なので、その表情の使い分けも大切です。「雲の上ホテル 別館」は杉材の豊かな可能性をも感じさせてくれます。

また、高級な無垢材を使って100年200年持たせるというのではなく、普通の材、小さな材を使い、疲弊し汚れてきたら新材でリセットすればいい、という意識も感じられました。なにしろここは林業の町なのですから。

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